風邪の甘え方
スコールが風邪をひいた。
そんな連絡がウォーリアのもとに届いた。
スコールからの電話で風邪をこじらせていると伝えられた。
「・・・動けない・・・」
「動けなくなるまで医者にも行かずに我慢していた君が悪い」
「・・・・・・・・・・」
「それで、私にどうして欲しいというんだ」
冷たい言い方かもしれない。けれどこれは2人でした約束だった。
付き合って欲しいと告白された時にウォーリアは先ずこう言った。
「なら、言いたい事はハッキリ言う事」
と。
頭の中でいろいろ考えているスコールは必要以上の言葉は発さない性格だ。
それが時に誤解を招いたことが今まで何度かあったのだ。
ウォーリアは告白されるまで、むしろ嫌われているものだと思っていた。
それは、彼が言葉も態度も示さなかったせい。
付き合ってもそれが続くようでは正直ウォーリアも疲れる。
「約束しただろう?どうして欲しいか言ってくれないと、私も困る」
風邪をひいた。なら、どうしろというのか。
見舞いに来て欲しいのか、看病して欲しいのか、薬は?着替えは?食べたい物は?
「・・・来て欲しい・・・動けないから、身の回りのことが出来ない・・・」
咽喉を痛めた掠れた声で電話越しに伝わる。
「わかった。今から行く。欲しい物は?」
「・・・風邪薬・・・」
「薬だな。わかった」
電話を切って、家を出た。
おそらく薬だけでは足りないだろう。風邪に効く食べ物もついでに買っていかないと。
必要な物を買い揃えてスコールの家へ。
(こういう時、合鍵は役立つな)
いつの間にか渡されていた合鍵。
好きなときに来ればいい。彼なりの優しさか。
玄関を開けて中に入る。
食材を台所に置いて寝室へ行く。
「スコール、薬を買ってきた」
「・・・」
返事がない。
苦しそうに息をしながら眠っている。熱のせいで汗が出て髪が濡れている。
「汗がひどいな、拭かないと・・・」
タオルで拭ってやると、うっすらと目を開いたスコール。
朦朧とする意識とぼやける視界。
「・・・ウォーリア・・・?」
「こんなになるまで放っておいて、風邪をこじらせたらどうなるかよく分かっただろう」
(いきなり説教か・・・)
眠っていたほうがよかったかもしれないと目を閉じる。
「こら、服を着替えてから寝ないと駄目だ。こんなに汗をかいて気持ちが悪いだろう?それに、薬も飲まないと」
(寝られない・・・)
「そのまま眠っていてもよくならない」
強引に起こされ、服を脱がせられる。動くのもしんどいスコールはそのままウォーリアに成すがままになった。てきぱきと身体を綺麗に拭いてくれて、新しい寝巻きも着せてくれた。
「何も食べてないのか?」
「食べる気も作る気もしない」
と、言えば台所へ向かってお粥を作ってきた。
「何か食べないと」
「食べる気がしないって言っただろ・・・」
「食べないと薬を飲ませられない。それに何も食べないほうが身体に悪い」
ほら。と、蓮華に盛られた白い粥をズイッと、スコールの前に差し出した。
「な、なんだよ・・・」
「食べるんだ」
まさかウォーリアが食べさせてくれるとは思わなかったので、スコールは照れくさくなる。
「子供扱い・・・」
「子供じゃないか」
「う・・・」
「食べないと口に押し込むぞ、スコール」
ウォーリアの場合、優しいのはここまでだ。ここで拒否すれば無理矢理口に食べ物を詰め込んでくる。スコールは観念して素直に口を開けた。
「それでいい」
何とか食べきったスコールは薬もきっちり飲むと、やっと横になることができた。
「あとはゆっくり休むことだな」
薬の効果はまだ先。
重たい身体と意識でスコールはすぐに眠りに落ちて行った。
茶色い髪に優しく触れる。
「・・・全く・・・心配させて・・・」
このままウォーリアが来なかったらどうなっていただろう。
「風邪の時くらい、素直に甘えてくれてもいいのにな・・・」
そんな想いも他所にスコールは眠っている。
「あの時した約束、訂正しようか」
「甘えたい時は素直に甘える」
そんなことを言ったら、スコールはどんな顔をするだろう。
スコールの手を握ってウォーリアもベッドに寄りかかる。
「君の傍に居ると安心する・・・」
君の風邪が治るまで、傍に居るよ。
それまで、君がどれくらい私に甘えてくれるかな。
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いつものように思いついたら書く。みたいな感じなのでまとまりが悪い。妙にダラダラですいませんでしたっ。
ただ、食べさせてくれる場面はどーしても欲しかった!ので・・・私もウォーリアにあーんってしてもらえたらなー・・・。いいなー、スコール・・・。あんな美人に看病してもらえたら風邪なんかふっとぶっちゅーの。
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