その時、その人は。(スコwolの場合)あけましておめでとう。
新年ですよ。
みなさん。
去年はお世話になりました。
今年もよろしく。
そう言葉を交わすもんだろ。
おい。
「お前ら…」
スコールの眉がぴくぴく動く。
ダンッ!!と、炬燵を叩いてその場の状況に激怒する。
「何だよこれはっっっ!!」
普段無口なスコールを怒鳴らせた原因。
すやすやと炬燵の周りを囲んで寝いる仲間たち。
それは数時間前にさかのぼる。
「新年はみんなで迎えたいよなー」
と、バッツ。
「おおっ!いいねー。炬燵囲んで鍋して~」
ジタンが横から便乗し。
「一緒にカウントダウンするっすね!」
ワクワクしたようにティーダが言った。
3人が他のメンバーにもそれを話すと勿論、賛成の声。
「なら。私、食材集めてくるね」
「僕も手伝うよ、ティナ」
ティナとオニオンナイトは早速食料を買い出しに。
「よし、俺たちは炬燵の準備だ!」
「うん。そうだね」
「…」
フリオニール、セシル、クラウドもせっせと準備を開始する。
ぽつん。と取り残されたスコール。
(相変わらず呑気な奴らだ…)
特にすることもなくただ、黙って立っていると、そこへ我らがリーダーの姿。
「何か始まるのか?」
唯一、動いていないスコールに尋ねるウォーリア。
「新年を迎える準備…らしい」
「そうか、そういえば今年も終わりだったな」
“戦士”その言葉がピタリと当てはまるようなこの人にとって年末年始など特に気になることでもないのかもしれない。
「それで、君は何をしているんだ?」
「特にやることがない。みんな勝手に準備してる」
「…なら、外に置いてあるものを中に運んではくれないか?沢山あってひとりでは大変なんだ」
「?」
ウォーリアに言われるまま外に出ると、そこにはずらりと並べられた一升瓶が。
「何だよこれ…酒?」
「ああ」
「こんなにどうしたんだよ」
「くれた」
「誰が?」
「ガーランドだ」
一瞬そばにあった瓶を蹴飛ばしそうになった。が、必死にその衝動を抑えたスコール。
「沢山あるから持って行けと」
「ああ、そう」
素っ気なく答えた。
(何考えてるんだ、あのおっさんはっっ)
心の中で叫んでも答えなど出ず。
酒も揃って炬燵も鍋の準備も整い。
「「「かんぱーーーーい!!」」」
こうして始まった年越しパーティ。
賑やかなのはもう慣れてきたスコール。だが、やはりどこか馴染めず一緒に騒ぐことはなく、黙々と食べ続けるくらいだ。
隣に座っているウォーリアがスコールの皿に何も言わず料理を盛ってくれるのはまさに至福と言うべきか。
気が利くというか、スコールを放っておかない優しさが本人にとってはものすごく嬉しい。
(酒は気にくわないが、こういうのもいいな)
と、幸せを噛みしめているスコールのそばで最年少のオニオンナイトが。
「僕もお酒飲んでみたい」
等と言いだし始めた。
「駄目だよ。飲んじゃダメ」
セシルが優しくなだめるが引き下がるわけがない。
「いいでしょ!チョットだけ!」
「あっ、こら!駄目だって!」
飲ませろ。駄目だ。の大乱闘に発展。
「私も、飲んでみようかな…」
何を思ったかティナまで言い出す始末。
「止めとけ…」
小声で止めるクラウドの効果もなく、くいっと飲み干すと。
「あ、おいしぃ」
そんなティナの姿を見て、余計に飲みたくなったオニオンナイト。
「絶対に飲む!!」
「止めとけって!」
そんな様子を呆れつつ見ていたスコール。
「おい…止めなくていいのか?あんたなら…」
簡単に止められるだろう。と、ウォーリアのほうを見てスコールは驚愕する。
さっきまで静かに食べていたはずのウォーリアが倒れこんですやすや眠っている。
「なっ…お、おいっ」
スコールがウォーリアの肩に手をやると酒の匂いがふわっと漂った。
「…酒、飲んだな…!」
(最悪だ、どうするんだよ。この状況!!)
ギャイギャイと騒ぎまくる仲間を止めれる唯一の人物がぶっ倒れてしまった。
スコールにはどうすることもできない。
数時間後、酒の効果と騒いだ疲れとでスコールを残し全員が眠ってしまったという結果に。
ひとり、取り残されたスコールは叫ばずにはいられなかった。
「何だよこれっ!!」
どんなに叫ぼうとみんなすっかり夢の中だ。
「新年は皆で迎えるだと!?カウントダウンするだと!?ふざけるなっ!もう新年迎えてるぞっっ!?」
みんなこの場所にいるにもかかわらずスコールはひとり寂しく新年を迎えてしまった。
「…バカバカしい…もういい…」
はぁーっと、溜め息ついて座り込む。
チラッと横目にすやすや眠るウォーリア。
みんなも眠っている。
「・・・・・・・・・・・・・」
スコールはゆっくりウォーリアに顔を近づけた。
(キレーな顔…)
小さい寝息が聞こえてくる。
今なら誰も見ていない。
みんな眠りこけている。
そっと、白い頬に口付けた。
「今年もよろしくな…」
ぼそりと耳元で囁いた。
「…ん…?」
ウォーリアが目を覚ますと、すぐ横でスコールが眠っていた。
「…いつの間にか眠ってしまったか…」
ムクリと起き上がるとみんなが鍋をつついていた。
「あ、起きた?」
「俺たちもちょっと眠っちゃったっす」
「そうか…」
みんなはにっこりしてウォーリアを見た。
「…?どうした?何か顔についてるか?」
するとみんなは。
「ウォーリアって愛されてるよねー」
と、一言。
「…?」
よく分かっていないウォーリアだが、スコールのしたことはみんなしっかり目撃していた。
「スコール、俺たちが見てたって知ったらどうするかな?」
「絶対、怒る」
今度はひとり眠りこけているスコール。
みんなが見ていたことも知らずにぐっすりだ。
何があったのかは分からないが気づけば新年。
ウォーリアはスコールに。
「おめでとう。今年もよろしく」
と、囁いた。
*****
何かいろいろすいませんでした。
小説自体久々過ぎて何だこれ…orz
UPすんのが遅くてずれた内容に…(書いたの大晦日だったのにね…)ま、いいか。
スコールが今年もみんなから弄ばれますように(笑)
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