今日は久々に話を。
もう我慢できなかったので…。
幼少期のキングとナイン。
そして、今に至る。
いつも通り、突発的なのでつっこみとかなしで。
ネタバレ的なものはあまりありませんが、できたらED視聴済みでお願いします。
あいつはもう覚えていないかもしれない。
今よりも、もっともっと子供だった頃のお前はな。
「記憶の其処で」
走り回って、笑って、怒って、勉強はめんどくさがったが身体を動かす訓練ともなれば活き活きしていた。たくさんん食べて、ゴロゴロしたり。とにかく、一日中煩くて大人しくしていられないナイン。
施設に入ったのが同じくらいの時期だったせいか、2人でいる事が多かった。
環境の変化にすぐ慣れたのは自分も同じで。マザーがいつも優しくして、見守っていてくれた。だから、何も心配もしなかったし、不安もこれっぽっちもなかった。
アギトになる、その目標のために毎日鍛錬して生きてきた。
施設に入ってから暫く。夜中にもぞもぞとベッドが揺れた。
「…?」
眠っていたキングのベッドの中に入り込んできた何か。
「…ナイン…?」
見ればキングにすがりつくようにナインがいた。
男子同士、同じ部屋で眠ってはいたがナインのベッドは反対側。寝ぼけてここまで来たのか?と、キングはナインを起こそうとする。
「ここは俺のベッドだぞ、ナイン。お前はあっちだろ…」
「うーん…」
眠たい目をこすりながらナインを起こそうとするが、びくともしない。
「…なんなんだ…」
いくら声をかけても一向に起きない。あまり大きな声を出すと他のみんなも起こしてしまうかもしれない。キングは仕方なく、ナインのベッドにでも移ろうかとも思ったが、今度はグイッとパジャマを引っ張られた。
「…おい」
放せと言いかけてキングははっとした。
眠ってはいるが、よく見ると泣いている。
「…ナイン」
縮こまってすがりつくように泣いている。
普段のナインが絶対に見せない姿だ。どんなに転んでも泣かない奴が、こんなに弱々しく泣くなんて。
「…ぅ…ぇぇん…」
夢でも見ているのか。どんな夢かは分からない。
悲しい記憶なんて、生きてる人間にない。
ここに来る前のこと。家族がいたのか。お母さんは?お父さんは?知らない。
それとも、怖い夢でも見ているのか。
ナインにも怖いものがあるのか?
その時ふと、何かが芽生えた気がした。
正確にはこのままじゃいけないと言った方が正しいだろうか。
キングはナインを包むように横になった。
大丈夫、ずっと一緒にいる。
腕の中で震えていた子犬は、いつの間にか泣きやんで。
泣きやんだナインを見て、自分も安心して一緒に眠る。
そんな事が暫く続いたが、当の本人は全く覚えていないようで。朝になるとなんでキングが一緒に寝てるんだよと怒りだす。全く、迷惑な話だ。一部始終話すとそんなわけあるかとまた怒る。こっちも呆れて次来たら叩き起こしてやるなんて思うのだが、結局、あの涙に負けてしまう自分がいた。
それが今。
あの時と同じ事が起きている。
「珍しく来ないと思えばこういう結果か…」
毎日のように部屋に来るナインだが、珍しく来ないななんて思って眠りについたら。
「今となると…まるで夜這いだな…」
もしかしたらと思い、部屋の鍵をかけなくてよかったんだか違うんだか。
気付くと重いし暑苦しいしで目が覚めた。
大きな犬がぴったりくっついていた。
あの時と同じ。
「なにが悲しいんだ?」
朝になって寝ぼけながら目をこするナインに聞いた。
「ん―…?つか、俺いつキングの部屋来たんだぁ?」
「そこも覚えてないのか…夢遊病か…?」
呆れてため息をついた。
「…よくわかんねぇよ俺も。あっ!早く朝飯食いに行こうぜ!」
「お前が遅刻しないのは朝飯のおかげだな」
目を覚ませば、いつものナインがいる。
「さっさと着替えてこい。部屋の前で待っててやる」
「おうっ!」
部屋から出ていこうとするナインをキングは呼びとめた。
「ナイン」
「ん?」
「毎日部屋にこい。俺もなんだか、お前がいないと安心できん」
「お…?おう…」
少し照れ気味に返事をしてナインは出ていった。
窓の外は今日もいい天気だ。
いつもと変わらない。
そう、ずっと前からそうしてきた。ずっと一緒だった。
なにがあっても。
そしてキングは、愛用の銃を手にとって部屋を出た。
◇◆◇◆◇
子供の頃の妄想を吐き出してみた。
もっとはっきりとしたキング×ナインに、できたらいいな☆
なんだかこれじゃキング+ナインぽい。
難しいんだよね。ナインの扱い方が。愛とか情事とかぶっちゃけあの性格では表現するのに段取りがいると言いますかー。
その点ではおそらくトレイとかのほうが書きやすいのかもです。
そして、この話から派生していく話が今後出る…と思われます。
「記憶の其処で」というタイトルの「其処」ですが、「底」と言う意味も重なっています…って、今はそんなことどうでもいいか。
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