ちっちゃい君も愛してる 2イライラ。
「私の分も食べるといい」
イライライラ。
「ほら、付いてる」
イライライライラ。
「だっこか?おいで」
イライライライライラ。
「一緒に眠りたいのか?甘えっ子だな」
―ブチっ。
「おい!そんなに甘やかさなくてもいいだろ!大体、こいつは小さいと言っても俺の分身みたいなもんなんだ!!放って置いて・・・」
ゴチっっ!!チビスコールはウォーリアの横から目にも止まらぬ速さでスコールの顔面を殴った。
「ーっっ!!」
痛みに耐えるスコール。
「っ・・・こいつ・・・!」
皆から説明されて、ようやくチビスコールが自分の“素直”な部分が具現化したものと分かったが、自分から生まれた分身なのにどういう分けたか、自分より強くて性格が悪い。
(なんなんだ、こいつ!俺はこんなに性格悪くないぞ!!ていうか、俺より強いってどういうことだよ!!!)
フン。と、鼻を鳴らしてスコールを睨み付けてくるチビスコール。
「こら、やめないか食事中に」
ウォーリアがチビスコールを抱え上げた。
チビスコールはだっこされて嬉しそうにウォーリアに頬を寄せる。
ウォーリアをお母さんのように思っているようだ。
「とにかく、甘やかすな。あんただって子供を相手してる場合じゃないことくらい分かってるだろ?」
「そうだが・・・」
「俺は偵察に行く」
スコールはぶっきら棒に言うと行ってしまった。
「スコール・・・」
チビスコールがウォーリアを心配そうに見上げた。
大丈夫。と言うようにチビスコールの頭を撫でた。
一方、スコールは。
(ったく。なんだか腹が立つ!)
相変わらず、心の声ばかり。
(さっさとあの小さい俺が戻ればいいが・・・まさか、あのまま一生いるなんて事ないよな・・・?)
さわさわと流れる風に一瞬考え込む。
(・・・もし、一生いるなら・・・)
「おーい。スコール!」
考えを遮ったのはジタン達の声。
「・・・何だ・・・」
「いや、親子水入らずで楽しんでんのかなーと思ってたんだけど」
「・・・親子じゃない!」
「何だよ~。さっきまで勘違いしてたくせにー」
ケタケタ笑ってバッツがからかうと耳まで真っ赤にしてスコールが怒った。
「煩い。お前に言われたくないっ!」
「スコールが怒ってる。珍しいもの見たっす!」
ティーだがバッツの横から言った。
「お前ら・・・俺をからかいに来ただけなら容赦しないぞ。今、俺はすこぶる機嫌が悪いからな」
カチャ・・・と、ガンブレードを出すと、一斉に3人とも退いた。
「じ・・・冗談だって!」
「おこんなって!いやさ、ウォーリアがなんか寂しそうな顔してたから喧嘩でもしたのかなーって」
「喧嘩なんかしてない」
そう言って背を向けた。
「素直じゃないね」
ギクっと、される事を言ったのはセシル。
「だからあの子、飛び出てきちゃったんだ」
「な、何だよ・・・」
「本人が素直にしないから我慢できなかったんじゃない?」
「素直じゃなくて悪かったな・・・」
「それ、ウォーリアに言ったら?」
「・・・」
「ウォーリアが何であんなにあの子のこと見てると思う?」
「・・・知らない」
「小さくても、スコールに変わりないから」
セシルの言葉にスコールは。
「・・俺と・・・変わらない・・・?」
「そう。ウォーリアにとって甘えてくるスコールが愛しくて仕方ないんじゃない?」
「・・・う・・・」
「そう思うんだ。だって、僕にも小さい兄さんが現れたら片時も離れないでいるもん」
「「「「そこでブラコン出すなよ」」」」そこに居た全員がセシルに突っ込んだ。
「なに、途中まですげーいい事言ってたのに!」
「いきなり兄さん出すなって!」
「ゴルベーザの小さいのって想像しにくいっす!」
「・・・お前、それがいちばん言いたかったんじゃないのか・・・?」
「ヒドイな皆。僕、真面目に話してるのにー」
※セシルは至って真剣です。
そんな頃。カオス側は。
「っくしゅんっっ!」
兜越しにくぐもったくしゃみをするゴルベーザ。
「あら?風邪なのですか?大事な時なのにこじらせては大変」
アルティミシアがティシュを渡した。
「うむ・・・どうやらセシル・・・また私の事を言ってるようだ」
ズビーン!と何でだか兜越しに鼻をかめるゴルベーザ。
「そういえば、コスモス側に小さな男の子が現れたようですね」
「なに・・・!?コスモスが新たに呼び寄せた戦士か・・・!?」
「いいえ。あのスコールにそっくりな男の子です。光の戦士に大事に抱っこされているのを見ました」
と、言った瞬間。
ガシャーンっっ!!!わなわなと震えるガーランド。
目の前にあったテーブルも椅子も全てなぎ倒していた。
「アルティミシア・・・それは本当か・・・!?」
「ええ、確かにこの目で見ましたけど・・・」
「あの・・・あの・・・若造が・・・!」
ブン!と、大剣を振り回して。
「よくもわしのフィアンセを汚してくれたではないかぁあぁぁぁぁっっ!!」ズドーン!と、壁に大穴明けて出て行った。
「その首、討ち取ってくれるわぁあああああぁぁぁぁああっっっっっ!!!」とーくから聞こえてくる殺気こもった雄叫びにカオス勢は呆れていた。
「まったく、彼の光の戦士ラバーには困ったものだ。せっかくのお茶が台無しだな」
皇帝はフヨフヨと浮きながら優雅なティータイム。
「まぁ、いいでしょう。彼がコスモス達をあの勢いで潰してくれるのなら・・・さぁ、まだ時間はあります。お茶の続きをしましょう」
至って和やかなカオス勢であった。
□■□■□
ギャグってのがいちばん書きなれてない気がする。
セシルブラコン炸裂。
ガーさん御乱心。
