記憶の欠片 言葉の泪 9小高い丘を登っていくスコール。
(何とか見つけ出さないと・・・時間がない)
焦りも出てくる。
何とか見つけ出すことが出来たとしても、その後に何か出来るだろうか。
結局のところクリスタルが絶対に何とかしてくれるという保証など何処にもない。
ただ、何かに縋りたいだけで思いついたことか。
(少ない確率でも手があるなら・・・)
ザッザッと、丘の上まで登り後ろを振り返る。
「・・・!」
スコールの目の前に広がる美しい景色。
それは、9年前のあの日も見たことのある光景だった。
「・・・もしかしたら・・・!」
スコールは駆け出した。
記憶を必死で辿る。
9年前のあの日。
この場所で皆と別れた。
ウォーリアにとってもスコールにとっても最後に皆で居た場所。
スコールは丘の先にある木々の中へ入った。
(もしかしたら、この近くに・・・頼む、見つかってくれ!)
キラッ。
スコールの横目に輝く光を捉えた。
木々が生い茂る中、キラキラと何かが光っている。
見ると、積み上げられた石の隙間から光が漏れている。
スコールは近寄り、隙間から中を覗いた。
「・・・あった・・・!」
積み上げられた石の中は狭い空洞になっており、その中で輝きを放つ青きクリスタルの姿。
スコールは希望の光を追いかけるように積み上げられた石を取り除いていく。
腕だけ入れそうな穴を開け、その手を伸ばした。
「頼む、ウォーリアを救ってくれ・・・!」
スコールの手でクリスタルは久しぶりに外へ顔を出す。
「時間がないんだ」
スコールはクリスタルを手に、急いでウォーリアの元へ走った。
これで何とかなる。
絶対に大丈夫だ。
そう自分に言い聞かせながらスコールは走る。
ウォーリアの家が見えてきた。
「ウォーリア!見つけてきた。これで何とかなる!」
しかし、ウォーリアの返事はない。
「ウォーリア!」
玄関の戸を開けるが、中はしんと静まり返っている。
「居ないのか!?こんな時に何処へ・・・!」
家の中を見て回るが何処にも居ない。
「何処に行ったんだ。ウォーリア!」
コツンと、何かが靴に当たった。下を見下ろすと、そこにはあの日記帳が開いたまま落ちている。
「ウォーリアの日記帳・・・」
スコールはそれを拾い上げると言葉を失った。
「・・・っ!!」
日記帳は全てのページが真っ白になっていた。
文字ひとつ残されていなかった。
それは、ウォーリアの記憶が全て消えてしまった事を意味していた。
「そんなっ・・・!」
日記帳には、おそらくウォーリアが最後に抵抗したとみられる跡が。
ページに、滲んだ涙の跡が残されていた。
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とりあえず、スコとwolを離ればなれにしたかったので若干強引な内容に・・・。
でも、これ多分序章に過ぎない気がしてきた・・・。
次辺りからガーさんが出るはずです・・・。
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