記憶の欠片 言葉の泪 8成す術は無く。
無常に過ぎていく日々と、消えていくウォーリアの記憶。
記憶を戻すどころか消えていく記憶を止める事も出来ないまま数日が過ぎた。
スコールはずっと頭を悩ませているばかり。
ウォーリアは記憶が消え続け、殆どの事を忘れてしまっていた。
頭の中が空白だらけで、ボーっとすることが多くなったようだ。
ここ最近は日課の花の手入れさえしなくなり、ただ窓の外をボーっと眺めるだけで1日が過ぎていく。
ただ、唯一覚えているのは傍に居るスコールの事だけ。
だが、スコールとの出会いさえ今はもう忘れ始めていた。
明日になったら、スコールの事さえ忘れてしまっているのではないか。
ウォーリアもスコールもそればかりが頭を過ぎる。
全て忘れた時、ウォーリアはどうなるのか。
もう、時間がない。
スコールはまたパラパラとウォーリアが付けていた日記を捲る。
空白部分ばかりだった日記の内容が今では、殆どのページが真新しい真っ白な紙に戻ってしまっている。
ウォーリアが覚えていることはもう僅か。
(どうしたらいい・・・どうしたら・・・)
こんな時、昔の自分はどうしていただろう。
いつも独りで居た。誰かと関わることが少ない分、誰かのことで真剣に考え込むことなど殆ど無かった。悩んだとしても誰かに相談することも無く、いつもひとりで答えを見出そうと足掻いた。
だが、この問題は。
(俺ひとりではどうすることも出来ないのか・・・)
ふと、閉じた瞼の裏に見えた光。
「・・・!」
美しい慈愛に満ちたひとりの女神。
「・・・コスモス・・・!」
秩序の神コスモス。
9年前、自らを犠牲にしてまで戦士たちを助けてくれた神。
クリスタルを手に入れるために迷っていた仲間達に幾度も助言をしてくれた心優しい女神だ。
「そうだ・・・!」
スコールは立ち上がった。
窓の外を眺めているウォーリアに近づき。
「ウォーリア、クリスタルは・・・クリスタルは何処だ!」
「・・・クリスタル・・・?」
「9年前、俺達がそれぞれで見つけ出した希望。あんたも手に入れた。何処にある。もしかしたらクリスタルで何とかなるかもしれない!」
一筋の光がスコールには見えた気がした。
「・・・分からない・・・」
だが、そのクリスタルの在り処を唯一知っているウォーリアの返答は空しく。
「9年前に帰ってきて、それから何処へやったのかあんたしか知らないはずだ。何とか思い出してくれ!」
「・・・」
ウォーリアは首を横に振るだけだった。
本人が覚えていないなら自力で探し出すしかない。
ウォーリアも一緒にクリスタルを探すのを手伝った。
スコールの記憶にあるクリスタルの特徴を教え、まずは家周辺を探す。
(よく考えろ。ウォーリアなら何処にクリスタルを置くか・・・帰って直ぐきちんとどこかへ置いたはずだ)
しかし、家の周辺にはなく。
「ここにはないようだな・・・もう少し離れたところに置いたのか?」
「すまない・・・覚えていない」
「とにかく、心当たりのある場所から手当たり次第探すしかなさそうだな」
「心当たり・・・」
ウォーリアの顔には明らかに疲れが出ている。
記憶を失っていく恐怖、スコールを忘れてしまう恐怖。ウォーリアの様子を見て、スコールは。
「あんたは家に居ろ」
「・・・私も手伝う。自分の事なのだから」
「あんたの記憶がなくなるのもだが、倒れられたほうがもっと困る」
そう言われ、しぶしぶ家に残ることにしたウォーリア。
家にこの状況でひとりにするのはスコール自身不安だった。
スコールはふと、自分の胸元に手をやった。
「持ってろ」
そう言ってウォーリアに手渡したのは、スコールが昔から肌身離さず付けていたネックレス。
「大事なものではないのか?」
「だからあんたに渡す。もし、俺を忘れてそれを捨てたりでもしたらただじゃおかない。だから絶対に俺を忘れるな」
その言葉にウォーリアは少し元気をもらえた気がした。
大事そうに両手で握り締めた。
「分かった・・・」
久々に微笑んだウォーリアを見て、スコールも少し微笑んだ。
「必ず見つけてくる」
そう言って別れた事をスコールは後に後悔する。
□■□■□
フ・・・フウ・・・。
何とかここまで更新。
とにかく本当にどこまで続くのか、どう終わるのか、私にも分かりませぬ。読んでくださっている方がいる・・・にはいてくださるみたいですが・・・これ、面白い?本当に趣味と妄想だけで成り立ってる感じで、読者様を意識せずダラダラと書いているので時にこの話やめようかと思う時もあります。
だって・・・終わるのかこれ・・・っっ!!
う、ううーまあ・・・もう少し頑張ってみよう・・・。
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