咲き誇れ この胸に光浴びる大輪の花「フリオニール、それは・・・?」
「のばらだ・・・」
一時の休息。
フリオニールは凛と咲き誇るのばらを眺めていた。彼はひとりで何かを考える時、よくこうしてのばらを眺めている。
「俺の夢。世界をのばらでいっぱいにしたい」
熱く語るフリオニールは、力強く咲くのばらそのものとも言える。
崩れかけの何も無いようなこの混沌とした世界で美しく咲く花は今、とても貴重かもしれない。
「なぁ、ウォーリアにはどんな夢があるんだ?」
ふと、フリオニールがウォーリアに問う。
ウォーリアは闇が渦巻くような空を見て。
「この戦いを終わらせることだ」
と、一言。
フリオニールは真剣な表情をして真っ直ぐなウォーリアの答えを聞いて苦笑する。
「違う違う。その後だよ。戦いが終わったら何かしたいとかないのか?」
「戦いが終わったら・・・?」
フリオニールに言われてウォーリアは考える。
戦いを終わらせることだけ考えていた彼にとって、フリオニールのようにその後というものを考えたことがなかった。
戦いの始まりも、旅の始まりも、生まれ故郷も、家族も、名も・・・何も覚えていない。気付けば戦うだけの日々。目の前のことしか見えないのは己も過去も知らないせいだろうか。
「考えた事がないな・・・」
「夢、ないのか?」
「分からない・・・」
フリオニールのように夢が持てない。
少し寂しげな表情を見せたウォーリア。
そんな顔をフリオニールは初めて見る。
「・・・なら、花を育ててみたらどうだ?」
「・・・?」
突然、フリオニールの口から出た言葉にウォーリアは少し戸惑う。
「好きな花を育てるんだ。何かないか?」
「・・・花の名前はあまり知らない・・・」
「なら見つけてみるのもいいかもな。世界には沢山の種類の花がある。花は人を笑顔にする、幸せにしてくれる。戦いが終わった後の世界を綺麗な花でいっぱいにする。どうだ?」
「・・・それは・・・いいかもしれないな」
だろ?と、フリオニールはウォーリアに微笑む。
「おーい!2人とも、そろそろいくっスよー!」
ティーだの呼ぶ声。
皆が待っている。
「今行く!」
フリオニールがのばらを大切にしまい、皆のほうへ向かった。
(・・・花か・・・)
「ウォーリアも早くー!」
と、ジタンたちが手を振る。
(それもいい・・・)
皆が楽しそうに話している。その姿をその目にしっかり焼き付ける。
忘れないように。
(・・・帰ったら。皆によく似た色の花を、育てよう・・・)
そう胸に誓い、光は仲間の許へと歩みだした。
*****
初、小説☆
ウォーリアとフリオニールの何気ない会話が書きたかったのです。
ウォーリアってゲーム中、戦いを終わらせるこばかり言っていたので、じゃあ、その後は?というお話。
エンディングでのフリオニールの台詞が心に残っています。
きっと彼がウォーリアに新しい夢を持たせてくれますよう。
こんな物しか書けませんが、今後とも宜しくお願いいたします。
感想などくださると飛んで喜びます。
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