涙のいらない さよならを「全て終わったのだな・・・」
カオスを倒し、混沌の世界から無事に抜け出すことが出来た10人の戦士。
咲き乱れる花々。
生い茂る緑。
澄んだ青い空と清らかな湖。
穏やかに流れる時の中を自由に羽ばたく鳥達。
遠くに見える白い城に見覚えがある。
何となくではあったが、ウォーリアは思った。
(私の帰る場所はここだったか・・・)
平和で美しい世界。
(何故、私だけでなく他の皆もここに・・・?)
それはきっと、コスモスが与えてくれた皆と居る最後の時間。
「お別れ・・・か・・・」
ティーダの寂しそうな囁き。
それと同時に、その身が薄くなりそれぞれが元の世界へと帰ろうとしている。
(そうか・・・全て、終わって、皆とも別れるのだな・・・)
順々にひとりずつ、仲間に言葉を残し去っていく。
ウォーリアはスコールを見た。
その表情はいつもの無表情ではなく、穏やかで。
スコールは足元に咲いていた花を摘んで、ウォーリアに近寄った。
「終わったな・・・」
「ああ、終わった・・・君とも・・・お別れだな」
「・・・少しの間だけさ・・・」
「それは・・・また会えるということか?」
「あんたが俺を忘れなければ、きっと・・・」
摘んだ花をウォーリアに差し出した。
「忘れないさ。忘れるものか・・・」
花を受け取って、強く願う。
(また、会えますように)
「消えるんじゃない・・・帰るんだ。約束の場所に」
そう言ってジタンが帰って行った空から流れてきた白い羽。
スコールの手元へと届いた羽が「帰ろう」と言っているようだった。
「また・・・共に任務に就くのもいいかもな・・・」
(・・・行ってしまう・・・)
微笑んでいるスコールを初めて見た気がした。
そんなに優しく笑えるのかと、ウォーリアも精一杯優しく笑ってみる。
「スコール・・・」
他に残っている仲間達に聞こえないように、小さく。
「 」
きっと流れる風で聞こえなかったかもしれない。
けれど、君の心には届いているはず。
長かったような、短かったような戦いの中で、気付けた感情を君も忘れはしないから。
涙はいらない。
そんなさよならを。
次、会える日の事はまだ考えない。
そんな明日を。
さよなら。
姿が見えなくなっても。
さよなら。
遠くに行ってしまっても。
さよなら。
仲間達の分も。
さよなら。
忘れない。
さようなら。
*****
また突発的に。
書きたくなったら書く精神。
こんなシーンがあったらいいのにな~という願望と欲を込めて。
どうにも長編に続く感じの短編を書いてしまう。
ま、いいか。
しかし、消えていく前の言葉に自信がない、うろ覚えっ。
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